労働安全衛生法改正について(続編)

行政書士の佐藤昭一です。労働安全衛生法改正について、ストレスチェックが全事業所に対して義務化されること、熱中症防止対策が全事業所に対して義務化されることを以前お話ししました。今回は働く高齢者の労災防止に向けた作業環境改善を努力義務として事業者に課すことになったことについてお話しします。

◯経過◯

働く高齢者の労災防止に向けた作業環境改善を努力義務として事業者に課す改正労働安全衛生法が、5月8日の衆議院本会議で賛成多数で可決成立しました。令和8年4月に施行されます。

◯背景◯ 

厚生労働省によると、雇用者全体における60歳以上の割合は、2023年には18.7%になっており休業4日以上の労災に遭った60歳以上の割合は29.3%と高い数値になっている。加齢による身体機能の低下が原因と見られ、転落や転倒による事故が多く、休業見込み期間も長期化する傾向が見られると分析しています。

◯内容と狙い◯

高齢者の労災防止に向けたガイドラインを厚生労働省が2020年をに公表した。内容は身体機能低下を補う設備の導入や特性に配慮した作業管理に関する内容を示したものであったが、現場での取り組みが低調であったため、今回改正法の施行に基づく指針を策定し、努力義務化することにより作業環境改善を促す狙いがあるようです。

◯終わりに◯

高齢者の労災防止は非常に重要であり、事業所にとっても、労災により人手が減ることは、事業活動を継続するうえで影響は大きなものになります。高齢者の作業環境改善は、事業所にとって急務だと個人的には思います。事業者に皆さまには大変だとは思いますが、積極的に取り組んでいただくよう期待します。

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