改正公益通報者保護法の成立について

行政書士の佐藤昭一です。以前に公益通報者保護法について主な内容をお話しさせていただきました。

その後、6月4日に参議院本会議で改正法案が可決成立しました。今回は、改めて改正公益通報者保護法について復習の意味も含めてお話しさせていただきます。主な内容は以下のとおりになります。

◯改正の主な内容について

①不正を内部通報したことを理由に従業員を解雇や懲戒処分にした個人や法人に刑事罰を科することになります。

個人の場合・・・6ヶ月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金

法人の場合・・・3000万円以下の罰金

②通報者が民事裁判を起こした場合は、事業者側が通報と処分には関係がないことを立証する責任を負うことが明記されます。

③事業者が、内部通報者の窓口の担当者を配置しなかった場合、国が立ち入り検査をすることができるほかに、事業者が命令などに従わなかった場合には、30万円以下の罰金が科されます。

④保護の対象となる対象者の範囲の拡大

契約終了後1年以内のフリーランスの方も保護の対象者となります。

⑤公益通報者の探索行為を禁止する。

⑥改正法の施行期日について・・・2027年までに施行される見通しです。

◯最後に 

公益通報者に対する不当な配置転換に関する罰則の導入については、導入すべきとの意見があったようですが、見送りの判断がなされました。日本の雇用形態や人事異動にも影響があることは理解しますが、必ずついて回る課題です。施行後3年以内の制度見直しでこの課題にどう向き合うのか、今後の議論の行方に注目したいと考えます。

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