改正刑法による拘禁刑について(私見)

行政書士の佐藤昭一です。今回は6月1日の刑法改正により禁錮刑と懲役刑が廃止され、拘禁刑に1本化されました。今回は拘禁刑について知る得る範囲内でお話しさせていただきます。

◯拘禁刑の主な特徴と目的

①禁錮刑と懲役刑が廃止され、拘禁刑に1本化し刑務所に入所した受刑者を収容し改善・更正を図る。

②改善・更正と社会復帰を重視し、受刑者の立ち直りを図り、社会復帰後の再犯防止を図る。

③刑罰作業の義務化を廃止する。

④受刑者の特性に応じた指導を行う。(年齢、病気、障害など受刑者の特性に応じた指導を行う。)

◯拘禁刑のデメリットと課題

①人材の確保 

特徴と目的の④で示したとおり、受刑者の特性に応じた指導を行う際には、指導できる人材の確保が十分にできるかどうかは課題として残ると思います。

②刑務作業の義務化を廃止することにより刑務作業に従事する人材が減少する。

③刑期満了した出所者の約半数が帰る場所がなく、再犯を繰り返す現状をどうするか?

◯最後に

受刑者の改善・更正と社会復帰を重視し、受刑者の立ち直りを図り、社会復帰後の再犯防止を図ることを目的とする拘禁刑について、確かに懲らしめる考えから立ち直りを重視する考えに方向転換することは、一理あるとは思います。しかしながら、本当に再犯防止の抑止に繋がるかどうかはかなり未知数であり、犯罪者に対する一般国民の感情を考えた場合に、理解を得るのはかなり難しいと思います。賛否両論が必ず出るはずですので、しっかり建設的な議論を重ねて、より良い制度になることを望みます。

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