行政書士の佐藤昭一です。以前に部活動の地域移行について、前職で関わりがあった経験を踏まえてお話しさせていただきました。その後、16日金曜日にスポーツ庁と文化庁の有識者会議において部活動の地域移行に関する提言が示されました。
今回は有識者会議の提言内容と課題について、私の知りうる範囲内でお話しさせていただきます。
◯提言の主な内容◯
①2026年度からの6年間を改革実行期間として、達成時期を2031年度とすることを明記。
国は2023年度から2025年度を改革推進期間として2025年度末までに達成することを目標に実施している。有識者会議としては、国が示した2025年度末までに達成するのは困難と判断し、改めて目標達成時期の設定を提言したようです。
②「地域移行」の名称を「地域展開」に変更する。
「地域移行」の文言は学校と地域を分断する印象を与えるため、地域全体で部活動を支えることを明確にするため名称を「地域展開」に変更することを提言。
③民間クラブでの活動費について、保護者負担額の目安を示すよう、国に求める。
民間クラブでの活動費は種目によって保護者負担額がまちまちであり負担額の基準がない状態であるため、保護者負担額の目安を示し民間クラブ側と保護者側の相互理解を図るよう提言したと推測します。
④クラブの信頼性を国と地方公共団体で担保する仕組みを構築する。
国が地域クラブの定義・要件及び認定方法を示したうえで、地方公共団体が認定を行う仕組みを構築することを提言したようです。
◯課題◯
・指導者の確保と活動場所の確保をどうするか?
・受け皿となる地域クラブの態勢整備をどのように進めるか?
・自治体の取り組みに関する進捗状況の2極化をどう解消するか?(一例として熊本市では、学校を拠点にした部活動を継続する方針を示しているところも出ている。ただし、受け皿になっている総合型地域スポーツクラブが全域をカバーし切れないことが背景にあると言う事情があることは考慮されるべきであると思います。)
・国の説明が十分でないため、保護者から心配する声が多く出ているとの有識者会議の委員から指摘されているので、丁寧な説明が求められる。
◯最後に◯
中学校の部活動は運動部と文化部の2部門あります。中学校における運動部の部活動の地域移行の問題は、文化部の部活動においても同様の問題が起こっていると考えて良いのではないかと推察します。提言をもとに建設的な議論をしていただき、課題を一つ一つ解決して欲しいと思います。