行政書士の佐藤昭一です。今後、高齢化社会が進んでゆく中で、認知症を発症する高齢者が増えることが予想されます。そうした状況の中で、認知症等の方を支援する制度として成年後見制度があります。
しかしながら成年後見制度を利用する際に、必ずと言っていいほど利用者と後見人の間で財産管理に関するトラブルが後を絶たない状況が顕在化しており、制度の大きな問題点となっています。
今回は成年後見制度について見直しを協議している法制審議会の部会が中間試案をまとめましたので、その内容についてわかる範囲内でお示しします。
◯成年後見制度とは?
・認知症や知的・精神障害などで判断能力が十分でない方を司法書士や福祉関係者や親族が後見人となって支援する制度。
・内容・・・預貯金の管理や福祉サービスの利用手続き、契約を取り消すことができる包括的な代理権がある。また、日常生活の見守りを担う場合もあります。
本人や家族らが利用を申し立て、家庭裁判所が後見人を選定します。身寄りがない場合は市町村長が申し立てるケースもあります。
◯見直すポイント
①「終身制」を撤廃し不要となれば終了する規定が示された。
②家庭裁判所が最初から期間を定めて更新制とする案や後見人らに利用の継続要件を定期的に報告させる案が示された。
③利用者本人の判断能力に応じて分類していた、「後見」・「保佐」・「補助」の3つの類型の柔軟な活用や特定の行為に絞って代理権を付与する方式が示された。
④後見人らの選任や交代、解任にあたり本人の意向や利益を重視するとの姿勢が明確に示された。
⑤家庭裁判所が設定する報酬額は本人の財産だけでなく、後見人らの事務内容も基準として明示する。
◯最後に
成年後見制度については、「社会情勢と法制度に大きな隔たりがあり利用する際にトラブルが絶えない」と現場サイドから批判の声が多い制度で見直しは急務です。少しでもギャップが解消され利用しやすい制度になるよう、今後の議論を見守りたいと思います。